イーグル歯科クリニック院長 武笠 憲と矯正治療への思い

最近マウスピース矯正、舌側矯正、床矯正など簡便性、見た目を重視した治療法をよく見かけますが、その方法で歯並びは良くなったけど咬み合わせが悪くなったり不正咬合で歯周病が悪化したり、歯が破折したりしないのか、そのようなことを危惧しています。

私は大学卒業後、虫歯、歯周病だけでなく矯正、インプラントも手がけられるようになりたいと思い総合的治療のできる関東の歯科に入職しました。

その中で氷川下セツルメント歯科診療所歯科部長の神田先生に出会い、矯正を学ばせていただきました。もちろん当初技術もない私でしたので、自分の休みの日の矯正日に神田先生に無理にお願いして矯正チームに参加させていただきました。神田先生はまず、奥歯に装置をつけることからはじめるよう指示をしてくれました。バンドセット、今では苦もなくすることですが、その当時の僕は神田先生が10分程度でできることを1時間近くかけて終わるような状態でした。患者さんにも神田先生はじめチームのみなさんにも相当迷惑をかけていました。
しかし、自分の治療で患者さんの歯列不正が改善していくのを見てますます、矯正治療のすばらしさを実感し、のめりこんでいきました。矯正の診断、装置の付け方、ワイヤーやゴムの交換使い方を実地で教えていただきそれが、今でも僕のベースになっています。

そして順調にすすんでいたのですが、時として今まで勉強したように治らないケースにぶつかるようになります。開咬がなおらないです。もしくはきれいに治っても後から開咬になってくるそんなケースが僕を悩ますようになってきたのです。僕はたまたま、何気なく持っていたある矯正の本にあった複雑なワイヤーの曲げ方をまね、受け口の患者さんで治療で咬み合わせが咬まないケースにそのワイヤーをいれてみました。次月の来院日、僕はあっけにとられたのが忘れられません。何ヶ月も咬まなかったのがきれいに咬み合っていたのです。その本は「meawを用いた矯正治療」神奈川歯科大学元学長 佐藤貞雄先生とわが師匠 白数先生たちが書かれた本でした。幸運は重なるものでその年白数先生がはじめて福岡でセミナーを行うことを知りました。それまで東京、大阪でしか行われたことがないので、これも何かの縁と急いで申し込みました。

白数先生から教わった矯正治療は、大学からそれまで学んだものとは一線を分かつものでした。 歯列不正は、単に顎が小さくなったものでなく人間の進化と退化の過程に起こった不正咬合がおこすものであり、生理的な咬合を与えることで歯列不正は改善する。従来の顎と歯のサイズを診るだけの治療では逆に不正咬合を作り、歯列不正が悪化する可能性がある。そして、不正咬合が顎関節や歯、歯周組織を壊す原因になると教えていただきました。
実際に臨床に取り入れると、小臼歯を抜かずにすむ。従来の矯正で2~3年かかっていたのが1~2年で終わるなどの効果が、また、この矯正をセミナー後はじめて当院で行った反対咬合の患者さんが1年3ヶ月で終わったのですが、その方が治療が終わったとき歯並びが改善してきて肩こりがなくなったとの声をいただきました。ちょうどその前に従来の小臼歯抜歯で反対咬合を2年半かけて治した患者さんは歯並びは良くなったけど最近、顎がカクカク音がするとの声もあったのでやはり生理的咬合の概念のない治療では矯正治療が不正咬合を作ることになると改めて身を正す思いでした。そして、その患者さんに知らなかったとはいえ申し訳ない気持ちになりました。(ただ、矯正専門医の先生も含め従来型の矯正が未だに主流なのです。当院では最近、以前他院さんで小臼歯抜歯をして口が開けづらくなった患者さんを再矯正することもあります。また、見た目のためでなく顎関節症のために矯正することもあります。)

最近マウスピース矯正、舌側矯正、床矯正など簡便性、見た目を重視した治療法をよく見かけますが、その方法で歯並びは良くなったけど咬み合わせが悪くなったり不正咬合で歯周病が悪化したり、歯が破折したりしないのか、そのようなことを危惧しています。

白数先生と出会って6年 矯正だけでなく顎関節症の治療法、歯周病と咬合などいろいろなことを学ばせていただいています。これまで教えていただいたこと、自分で気づいたことを熊本の皆さんに伝え還元していきたいと思います。

はじめてのかたはぜひお読みください

矯正治療の目的とは?
矯正治療には、「見た目が美しくなること」「かみ合わせがよくなること」の2つの目的があります。

審美性の回復

見た目に関するお悩みやご要望をお聞きし、骨格や歯の形などを考え、可能な限り満足していただけるような歯並びになるよう矯正治療を行っています。

健康・機能性の回復

実は外から見える「前歯の見た目」が良くなっていれば、「かみ合わせが良くなった」とは限らないのです。